こんにちわ、ヤマトカケルです。
今回は、会計の損益にも大きく影響し、
また税務調査でも確認される”棚卸品”について
書いていきたいと思います。
※こちらの記事を読むのに約6分かかります。
棚卸品、貯蔵品、仕掛品とは
棚卸品や貯蔵品、仕掛品(しかかりひん)と
さまざまな言い方で表されますが、
平たくいうと、
事業者の会計期間中にお金をかけて
仕入れてはいるが、会計期末においてまだ売れていないもの、未使用のもの
となります。
例えば棚卸品は、完成品である商品や製品を、
貯蔵品は、切手や印紙など一般管理費に分類されるような消耗される品を、
仕掛品は、未完成である製品や、工事作業中の状態のものを、
指すことが一般的です。
で具体的に棚卸の考え方を見ていくと、ワインの小売店舗を運営していたとすると、
ワインを10本100,000円で仕入れて
7本が売れて会計期末に3本が売れていないとします。
そうすると、7本分70,000はその会計期間の売上原価となり、
3本分30,000円は棚卸品となります。
この例でいうと、10本仕入れた100,000円は先にお金が出ていき、
70,000円は売上原価(経費)となっているが、
30,000円は経費となっていないということになります。
その30,000円はどういう状態かというと、
会計期間末時点での資産や負債の状況を表す
貸借対照表において資産の部に表示されています。
(その事業者は30,000円で仕入れたものを保有していて
翌期はその30,000円分のワインを売ることが出来るため、資産でとらえる)
1年間でワインを10本しか仕入れていないのであれば、
何本売れて、何本残っているか、把握することは簡単ですが、
一般的な事業者であれば、複数の商品を大量に売買を繰り返して運営している
ことが多いでしょうから、実務的には、会計期末に何がどのくらいあるか
(実地棚卸)を行ってまだ売れていない商品、製品等を把握する方法を用います。
ここで会計期末にとらえた棚卸品に誤りがあると会計期間における売上原価と
会計期末における資産に影響を与えてしまいます。
逆に言うと、当期の損益をなんとかしたい人は、この棚卸の数字を
いじったりします。
例えば3月31日が会計期末の会社であれば、
実地棚卸を3月31日に行ったとして、その数字が正しいかの確認は
その3月31日からずいぶん経った後であることが多いから
その棚卸数字が間違いであることを証明するのが困難であるからです(税務調査など)
※一部上場企業においては、その決算報告書が正しいものか
監査されますので、公認会計士等第三者が期末当日に実地棚卸に
立ち会う場合があります。が中小企業は関係ない話となりますね。
当期の決算の利益を増やしたいのであれば、
棚卸品を多くする→売上原価が少なくなることで利益が増える
当期の決算の利益を減らしたいのであれば、
棚卸品を少なくする→売上原価が大きくなるので利益が減る
という考えに至ります。
が、これらの考えはちと浅はかで、
数字をいじった棚卸品は翌期の原価となるのです。
先のワインの例でいうと、
棚卸品として4本40,000円あったことにすると、
本来の売上原価が70,000円に対して60,000円(100,000-40,000)となり
売上原価が減少し利益が増えます。
が棚卸品が40,000円になったことで、
翌期の期首は既に40,000円の仕入れを行っている状態からスタートしますので
翌期の売上原価にも影響を及ぼすこととなります。
(棚卸品を20,000円とすると上の例と逆の影響を及ぼす)
会計の損益に影響を及ぼすということは、
税務上も論点になりますので税務調査ではほぼ間違いなく
確認されるポイントとなります。
たまに棚卸、貯蔵品、仕掛品を計上しない決算報告書を
見ますが、現実的に期末にぴったり在庫を使い切っている
事業者はいないと言えるでしょうから、
自分が調査官ならまず調査したくなります笑
ここまでで棚卸についての基本的な考え方について
書きましたが、私が税理士事務所に入って戸惑った
仕掛品のとらえ方について次回書いていきたいと思います。