こんにちわ、ヤマトカケルです。
以前に棚卸について書いたページがあるのですが、
今回は棚卸の一部である仕掛(しかかり)について
見ていきたいと思います。
仕掛り・・・
実は簿記一級を持ってても、この考えを正しくとらえるのに
時間がかかりました。
そんなわけで仕掛ってよく分からない!という方向けに
易しく書いていきたいと思います。
この記事は約5分ほどで読むことが出来ます。
目次
仕掛(しかかり)とは?
よく、仕事がしかかっている。と聞くことがあるかもしれませんが、
そうです。○○を行っていてまだ完了していない。状態を指します。
簿記2級で勉強する工業簿記からこの仕掛品というものが出てきて、
工場での製品を作るなかで、まだ完成していないものの状態です。
仕掛りをとらえるためにはまず、
売上がどの状態で成立するのか、計上されるのか、を
正しく把握しなければなりません。
製造業でいうと、顧客に売却したときであり、
建設業でいうと、工事が完成し引き渡したとき(工事完成基準)
又は、顧客との間で同意した一部分を売上として計上します(工事進行基準)
これらの売上が成立する前に、
使った加工費や外注費を仕掛として、当期の経費にはせず、
貸借対照表上の資産として翌期に繰り越していきます。
会計でも税務でもその売上に直接伴った支出を
その期の原価にすることができ、
まだ売り上げが成立していないのであれば、
その引き渡し予定の製品・完成工事を作る段階での支出を
その期の原価にすることができません。
では実際の資料から仕掛をどのようにとらえているか、
具体的な例を書いていきます。
工事名・現場名が記載されている外注費
たとえば3月決算法人だとして、
A工事はR2.3月の売上として確定しており、
B工事はR2.4月の売上となっているものとします。
そうした場合に、外注先(下請けに工事の一部をお願いする場合)からの
R2.3月時点での支払い請求書において、
A工事 100,000円
B工事 70,000円という内訳だったとします。
この状態であれば売上が成立しているA工事にかかる外注費100,000円は
R2.3月期の原価となり、
一方B工事にかかる外注費70,000円は、
R2.3月期の売り上げではない支出なので、原価とならず仕掛としてとらえるのです。
工事ごと・現場ごとの人工がわかる場合
先と同じ状態でA工事は売上が成立しており、
B工事は翌期の売上となることとします。
B工事にかかる人工(延べ何人その現場に従事しているか)が
10日なのか20日なのか、工事台帳等で把握できたとします。
そうした場合、その把握した人員単価×人工の日数分は
まだ売り上げが成立していない部分に対応する支出として
仕掛として計上することとなります。
この場合の単価についてはそれぞれの企業での
合理的な数字を用いることが多いでしょう。
とつらつらと書いていきましたが、
税務調査においては上のような視点で、
企業の元帳、資料から正しく棚卸・仕掛をあげているのか
確認されます。
以前の棚卸のページにも書きましたが、
棚卸、仕掛、原材料が期末においてまったくないという状態は、
通常の企業取引においてほぼないと言っていいと良く、
決算を行うときは、必ず原価にしてはいけないものがないかどうか
確認を行うようにしていきましょう。